ジョホール日本人会安全対策部/事務局

 

            海外安全対策情報(平成27年4月~6月)

                                     平成27年7月22日

【1.治安情勢及び一般犯罪の傾向】

マレーシア国内における2014年中の犯罪発生認知件数(除く知能犯罪、薬物犯罪等)は、128,544件で、前年比マイナス18,518件と大幅に減少し、殺人事も510件と前年比117件の減少となっています。
 しかし、犯罪発生率を比較すると当地は日本の約2倍犯罪が発生しており、特に強盗事件の発生率が日本の約23倍と、身体や生命の安全を脅かしかねない犯罪が、日本より遙かに高い割合で発生していることに注意する必要があります。
  在留邦人及び旅行者の皆様にあっては、言語、法制度、警察組織や犯罪捜査の手続など、あらゆる事象が日本と異なること、また、万が一犯罪に巻き込まれた場 合でも、日本の警察が行うようなきめの細かい対応は期待できないことをよく理解して、まずは、「犯罪に巻き込まれない」ように注意し、万一、犯罪に巻き込 まれた場合でも、「身体の安全を第一に行動する」ことを肝に銘じ、所定の防犯対策を行う必要があります。
  一方、マレーシア国内のテロ情勢については、サバ州南東部などの一部を除き、これまでテロ事件の発生はないものの、テロを計画した者に対する摘発や ISIL関係者の摘発が続いています。また、欧米観光客が多数集まるショッピングモールやバー・クラブ等も多数店を開いていることから、欧米の権益を狙っ たテロ事件に巻き込まれる可能性は十分あることを念頭に置いて行動する必要があります。

 

【2.一般犯罪・凶悪犯罪の事例・手口】

【邦人被害事件】

ひったくり、置き引き、車上狙いなどの窃盗被害は、在留者及び旅行者を問わず発生しています。また、4月以降、大使館へ寄せられた犯罪では、次のような事案があります。

 

ア 侵入盗(一戸建て住宅への侵入強盗)

4月29日、午前9時頃、セランゴール州の一戸建住宅に居住する邦人方へ、2人組のタミル語を話す強盗が侵入し、現金や携帯電話を奪って逃走しました。 被害者は、出入口や勝手口の鍵を交換して入居していましたが、犯人たちは台所の腰高窓から、グリル(金属製の防犯枠)を外して侵入していました。

 

イ バイク強盗(自動車運転者に対し数台で襲撃し財物を強奪)

6月27日、午後2時半頃、セランゴール州クラン地区の自宅へ小型自動車で帰宅中だった邦人女性を、バイク3台に分乗した強盗が襲撃し、助手席に置いてあった荷物を強奪して逃走しました。

本事案では、直前にバイク1台が被害者の車両の直前で転倒し、それに驚いた被害者が急停車したところ、襲撃を受けたということです。

 

ウ 高層住宅(コンドミニアム)における窃盗未遂事件

7月3日、ジョホール州の警備員が常駐するコンドミニアムに居住する邦人方へ、バスルームの窓から何者かが侵入しました。窓には鉄格子が据え付 けられていましたが、犯人は固定ボルトを外して鉄格子をずらし、部屋の中に侵入していました。

 

エ 国際送金詐欺(いわゆる「ロマンス」詐欺など)

国内外の「国際交流サイト」等で知り合った外国人にそそのかされ、マレーシアやその他の国々へ国際送金してしまう事案が多数発生しています。

大多数の場合、犯人は架空の異性(男性の場合、欧米系白人で企業コンサルタント、米国軍人、バンカー等を名乗る事が多い)により親しくメールをやりと りするようになった被害者が、各種トラブルに陥った相手方(犯人)のために数十万円程度の送金を行ったとたん、連絡が取れなくなるというものです。

  犯行は組織的に行われ、相手方の他に税関職員や宅配業者等、巧妙に役割 を分担して送金を促すケースもあるほか、

一度送金すると更に高額の送金を要求してくることも少なくありません。

 

 

オ インターネット・オークション詐欺

日本国内でネットショップやインターネット・オークションサイトに出品している邦人が、品物を騙し取られる詐欺で、多くの場合、スマートフォンや貴金属類など換金価値のあるものを狙っています。

 多くの手口では、犯人側は、高額な即決を提示するなどあの手この手で被害者と直接取引使用とするケースが多いほか、海外の銀行を装い、送金受付のメールをねつ造して被害者へ送金したと誤解させ、品物を送らせようとしています。

 多くの場合、犯人はEMS(国際スピード郵便)で被害品をマレーシアへ送るよう要求し、EMSの配達状況追跡サービスを悪用して郵便局到着を見計らい、被害品を窓口で直接受け取り逃走している模様です。

 なお、配送先住所には居住事実がなく、受取時に提示する身分証明書も偽造身分証で人定がわからないようにしていることがほとんどです。したがって、海外との取引に際し、殊更にオークションサイトを通さない直接取引を持ちかけられたり、銀行口座への入金確認前にも関わらず、あれこれ 理由を付けて「直ちに送って欲しい」等の依頼があった場合は、「オークション詐欺かもしれない」と疑ってかかる必要があります。

  

 

【3.テロ・爆弾事件発生状況】

【武装勢力の侵入事案】

在コタキナバル領事事務所管轄のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区周辺では、 2013年2月に数百人規模の武装勢力「スールー王国軍」がフィリピン側から侵入し、鎮圧に数か月を要したという事案が発生しました。

 翌2014年6月には、当該勢力と関係を持つとされる者が複数逮捕されており、当該地区には同勢力を支援する者が未だ潜伏している可能性が高いとされています。

6月末現在、当該地区には危険情報「渡航の延期をお勧めします。」等を継続発出しており、引き続き十分な警戒が必要です。

【テロ情勢】

マレーシア国家警察は、テロ対策の一環としてISIL関係者の摘発を強力 に進めておりますが、被逮捕者の中に「主婦」や「公務員」といったごく一般 的 な市民が含まれるなど、その支持者の裾野は広がっていると言わざるを得な い状況にあります。本年4月には2度の摘発により30人近くの関係者が逮捕 さ れたほか、6月にはマレーシア国内でISILへの勧誘を行っていたとされる北アフリカ出身の男性が検挙されています。ISILを巡っては、既に70人を越 える数のマレーシア人が、イラク及びシリアに渡航しての活動に参加していると伝えられているほか、複数の戦闘経験者がマレーシアに帰還しているとみられ ています。

 このように、マレーシア国内各地にはテロを企図する個人及び組織が存在することが判明しており、今後とも十分な警戒が必要です。また、マレーシアには欧米系資本のホテルや飲食店が多数進出しているほか、特にクアラルンプール市内ではショッピングモールやナイトクラブ等、欧米はもとより世界各国からの観光客が多数訪れる施設が多数存在します。このことから、万一、欧米系観光客を狙ったテロ事件が発生した場合には在留邦人も被害に巻き込まれる可能性が高いと言えます。 なお、2013年2月以降、テロ関連容疑でマレーシア国家警察に逮捕された者の人数は、100人以上に上ります(6月末現在)。

 

【4.誘拐・脅迫事件発生状況】

【外国人襲撃・誘拐事件】

在コタキナバル領事事務所管轄のサバ州東海岸部においては、かねてから身代金目的の拉致・誘拐事件が頻発しており、

2014年4月以降、5件の誘拐事件が発生しています。

      ・2014年4月 センポルナ近海(シンガマタ島)外国人旅行者1名、比人従業員1名

      ・2014年5月 ラハ・ダトゥ近海(バイキ島)養魚場マネージャー1名

      ・2014年6月 クナ近郊(サバン村沿岸)養魚場オーナー1名、比人従業員1名

      ・2014年7月 センポルナ近海(マブール島)海上警察官2名(内1名射殺)

      ・2015年5月 サンダカン海岸 レストランオーナー1人、外国人客1人

 

各事件には、フィリピン南部に拠点を置く武装集団が関与しているとされ、リゾート施設や養魚場など海に面した場所で被害者を拉致し、高速ボートでフィリピン南部の島へ連れ去っているということです。

本事案を巡っては、「犯人の一部が逮捕された」等の報道もされていますが、全容の解明など犯行グループを壊滅するには至っていません。 これら一連の誘拐事件を受け、サバ州東海域では、2014年7月から夜間航行禁止令が継続して発出されており、禁止時間帯に許可なく同海域を通行する船舶は警察により逮捕された上、罰金又は勾留が課されています。

なお、当該地区については、6月末現在も危険情報「渡航の延期をお勧めします。」等を継続しております。

 

【5. 対日感情】

全体的に良好ですが、本年は第二次世界大戦の終結から70周年にあたることから、終戦記念日前等の時期や尖閣諸島の領有権をとらえ、一部の華字紙には反日的な記事が散見されることがあります。

 

【6. 日本企業の安全に関する諸問題】

邦人及び現地社員に対する犯罪被害防止の対策とともに、他国企業では警備員や社内の者が手引きしたと思われる窃盗事案も発生していることに鑑み、社員及び警備員に関する採用人事や勤務管理等には、特に注意を払う必要があります。

 

●犯罪情報につきましては、在マレーシア日本国大使館のホームページにも掲載されておりますので是非一度

 ご確認ください。(http://www.my.emb-japan.go.jp/

●ジョホール日本人会としましては、今後とも地域の安全に関する情報の発信、共有化に努めて参ります。

 会員皆様からの安全情報のご提供をお待ちしておりますので、身近な事件・事故などありましたら、何卒事務局

 までご連絡頂きます様、よろしくお願い致します。                 以上