狂犬病~もし咬まれたら,すぐに医療機関へ

 

 

                                   平成28年1月28日
                                 在マレーシア日本国大使館

 

1.狂犬病の発生状況

 

(1)狂犬病は日本,英国,オーストラリア, ニュージーランドなどの一部の国を除いて全世界に分布しており,

   とんどの国で感染する可能性があります。

 

(2)毎年,数万人が狂犬病により死亡しており、そのほとんどがアジアとアフリカで発生していますが、北米、

   欧州の一部地域でも感染のおそれがあります。また、狂犬病が疑われる動物に咬まれた人の40%は15歳

   未満の子どもです。

 

(3)世界各国における狂犬病の発生状況としては、狂犬病による死亡例が最も多いのはインドで約20,000人

   (2008年)であり、また、パキスタンでは2,490人(2006年)、中国では2,466人(2008年)

   の感染死亡例が発生しています。また、2013年には台湾において、野生のイタチアナグマの狂犬病の感染

   が確認されています。

 

   その他、狂犬病の発生状況については、厚生労働省のホームページもご参照ください。

     ⇒ http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

 

(4)日本では狂犬病が撲滅されているため、その危険性を忘れがちですが、2006年11月に、

   フィリピンで犬に咬まれた日本人が帰国後に発症、死亡する事例が2例報告されました。

   世界各国では現在も感染者が存在する病気なので、海外に渡航、滞在される方は以下の点にご留意ください。

  

2.狂犬病について

 

(1)感染源

 通常、人は、感染した動物に咬まれたり、引っ掻かれたりすることで感染します。

イヌは、狂犬病の主たる宿主であり、媒介動物です。 イヌは、アジアとアフリカでは人の狂犬病の主な死亡原因

となっています。一方で、アメリカ大陸では、コウモリがほとんどの狂犬病死亡の感染源です。

また、コウモリの狂犬病は、最近、オーストラリア、西ヨーロッパでも公衆衛生上の脅威となっています。

非常に稀ですが、キツネ、アライグマ、スカンク、ジャッカル、マングースや他の野生の肉食動物種から人に

狂犬病が感染し、死に至ることがあります。

 感染伝播は、感染性物質(通常は唾液)が人の粘膜や新鮮な傷に直接接触することで起こることもあります。

稀に、狂犬病はウイルスを含むエアゾールの吸入や、感染した臓器の移植を通しても感染します。

狂犬病に感染している動物の生肉または他の組織の摂取は、人への感染源にはなりません。

 

(2)症状

 狂犬病の潜伏期間は、一般的には1か月から3か月ですが、1週間未満から1年以上と幅があります。

狂犬病の初発症状には、発熱、頻繁な創傷部位の痛み、説明のつかない異常なヒリヒリやチクチクする痛み、

灼熱感(錯感覚)があります。ウイルスが中枢神経系に広がるにつれ、脳と脊髄に、進行性で致命的な炎症を

起こします。この疾患には2つの病型があります。狂躁型の狂犬病では、活動性の亢進、易興奮性、恐水症状、

また時に恐風症状が、現れます。数日後には、心肺停止によって死亡します。

 麻痺型の狂犬病は、人の狂犬病全体の約30%を占めます。狂躁型ほどの激烈さはなく、通常、長い経過を

たどります。筋肉は、咬傷または擦過傷部位から、徐々に麻痺を生じます。昏睡が徐々に進行し、最後には

死に至ります。麻痺型の狂犬病は、しばしば誤診され、疾患の過少報告につながっています。

 

(3)予防方法

 (ア)動物にむやみに手を出さない。

   日本人は犬や猫を見ると無防備に手を出したり、撫でたり、手から直接餌を与えたりしますが、

   むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さないようにしてください。他人のペットであっても要注意です。

 

(イ)具合の悪そうな動物には近づかない。

   狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろうろするなど独特の行動をします。

 

(ウ)予防接種(暴露前接種)

   狂犬病ワクチンは国内の医療機関で接種することが可能ですが、現在、狂犬病ワクチンの在庫が減少して

   いる状況に鑑み、狂犬病の流行地域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者で

   犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。

 

   渡航、滞在先で動物を対象に活動する場合や付近に医療機関がない地域に滞在する場合には、

   最寄りの検疫所にご相談ください。

   ⇒ http://www.forth.go.jp/useful/vaccination05.html

 

   狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後の計3回接種します。

 

(4)万一動物等に咬まれた場合の対策

   狂犬病は一旦発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。狂犬病にかかっている

   おそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ちに十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い

   出したりしない)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療し、ワクチン接種をします。発病前であれば、

   ワクチンの接種は効果があると考えられていますので、必ず接種してください(破傷風トキソイドを未接種の方は

   狂犬病ワクチンの接種とともに、破傷風トキソイドの接種も必ず受けてください)。

   事前に狂犬病の予防接種を受けている場合でも、狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれた場合は

   治療を目的としたワクチン追加接種が必要となりますので、必ず医療機関で受診してください。

   また、現地医療機関での受診の有無にかかわらず、帰国時に検疫所(健康相談室)にご相談ください。

 

参考情報:

 

   厚生労働省検疫所(FORTH)「感染症についての情報 狂犬病」

   ⇒ http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name47.html

 

 国立感染症研究所感染症情報センター:狂犬病

   ⇒ http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_18/k03_18.html

 

(問い合わせ先)

○外務省領事局政策課(医療情報) 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850

 

○外務省領事サービスセンター(海外安全担当) 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902

 

○外務省海外安全ホームページ:

   ⇒ http://www.anzen.mofa.go.jp/

   ⇒ http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(携帯版)

 

 

            海外における麻しん(はしか)の発症に備えた注意

 

                                 平成28年1月28日
                               在マレーシア日本国大使館

 

1.背景

 

(1)我が国は、2015年度までに麻しんの排除を達成し、世界保健機関による麻しんの排除の認定を受け、

   かつ、その後も麻しん排除の状態を維持することを目標に「麻しんに関する特定感染症予防指針」を

   策定し、国全体での対策を推進してきました。その結果、2015年3月には世界保健機関西太平洋

   事務局により日本が麻しん排除状態にあることが認定されました。国内の麻しん感染者の報告数は

   2008年に11,012人でしたが、2015年には35人まで減少しています

   (2016年1月5日時点)。

(2)海外では、世界保健機構(WHO)等による麻しんの撲滅に向けた予防接種活動等の加速により、

   全世界での麻しんによる死亡者数は2000年の546,800人から76%減少し、2014年

   には、114,900人となっています。

   一方で、多くの発展途上国、特にアフリカやアジアの一部で麻しんの感染が頻繁にみられています

   ので、これらの地域へ渡航・滞在される方は、以下2.を参考に、厚生労働省のホームページ等

   から最新情報を入手し、感染予防に努めてください。

 

2.麻しんについて

 

(1)感染源

   麻しんは伝染性の強い急性発疹性のウイルス感染症で、感染者の気道分泌物(鼻、咽頭、口腔からの

   飛沫、飛沫核)による空気感染、飛沫感染などにより感染します。

(2)症状

   潜伏期間は10~12日で、主な症状は38℃前後の発熱、咳、鼻汁、結膜充血、目脂、発疹など

   です。また、合併症として肺炎、脳炎などを来すこともあります。特別な治療法はなく対症療法が中心と

   なります。

   一度、典型的な麻しんを発症した人は、通常、終生免疫が獲得されます。

(3)予防方法

   麻しんは感染力が非常に強いため、最も有効な対策は、事前の予防になります。国内の排除状態を維持

   するためにも、定期の予防接種により対象者の95%以上が2回の接種を完了することが重要となります。

   また、麻しんの流行している地域に渡航する際にも、流行のみられる海外から麻しんを持ち込まないために、

   事前の予防対策が重要となります。このため、これまで予防接種を受けていない方や、1回しか接種を

   受けていない方には、麻しん風しん混合ワクチンの接種が勧められます。

   なお、定期の予防接種は、生後12月から生後24月に至るまでの間にある小児(1期接種)及び小学校

   就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にある5歳以上7歳未満の小児

  (2期接種)に対して実施しています。

 

厚生労働省作成の「麻しん(はしか)に関するQ&A」及び国立感染症研究所ホームページ(特に最新の感染者数)

もご参照ください。

 

○参考情報:

 国立感染症研究所                            厚生労働省「麻しん(はしか)に関するQ&A」

   ⇒http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html  ⇒http://www.mhlw.go.jp/kenkou/hashika/index.html

 

(問い合わせ先)

  ○外務省領事局政策課(海外医療情報)                ○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)

   住所:東京都千代田区霞が関2-2-1            住所:東京都千代田区霞が関2-2-1

   電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850             電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902

 

○外務省 海外安全ホームページ:

   ⇒ http://www.anzen.mofa.go.jp/

   ⇒ http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)

 

●ジョホール日本人会としましては、今後とも地域の安全に関する情報の発信、共有化に努めて参ります。

会員皆様からの安全情報のご提供をお待ちしておりますので、何卒事務局までご連絡頂きます様、

よろしくお願い致します。

                                       以 上