マレーシアについての海外安全情報(危険情報)の発出

                                                                           2016年9月13日 在マレーシア日本国大使館 

【危険度】

●サバ州東側の島嶼部及び周辺海域

 レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

●サバ州東海岸のうち,サンダカン,ラハ・ダトゥ,クナ及びセンポルナ周辺地域

 レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

●サバ州東海岸のうち,上記「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」発出以外の地域

 (タワウ含む)

   レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)

●上記を除くすべての地域

 レベル1:十分注意してください。(新規)

 

【危険情報(ポイント)】

●サバ州東海岸一帯の大部分及び周辺海域では海賊事件,身代金目的の外国人誘拐等が多発し,様々な武装

勢力が活動を行っていることもあり,「レベル3:渡航は止めて下さい(渡航中止勧告)」が発出されて

います。これらの地域には,目的の如何を問わず渡航はやめてください。

●6月28日,クアラルンプール郊外のショッピングモールで発生した事件につき,マレーシア国家警察は

国内におけるISIL関係者による初のテロ事件であると発表しました。マレーシアにおいては,ISILを

はじめとするテロに関する情勢は予断を許さない状況にあります。テロ等の不測の事態に巻き込まれる

ことがないよう,テロの標的となりやすい場所(ショッピングモール,デパート,市場,公共交通機関,

観光,リゾート施設,金曜礼拝等の宗教関連行事施設,欧米関連施設)を訪れる際には周囲の状況に注意

を払い,不審な状況を察知したら,速やかにその場を離れると共に,警察,政府軍,関係施設には近づか

ないようにしてください。

 

☆詳細については,下記の内容をお読み下さい。

 

1.概況

(1)テロ・誘拐等

ア 2016年6月28日にクアラルンプール市郊外プチョン地区のショッピングモール内飲食店において,

手榴弾の投てきにより8人が負傷する事件が発生しました。

 マレーシア国家警察は,本件事件をISIL関係者がマレーシア国内で敢行した初のテロ事件として,

実行犯を含む関係者十数人を逮捕するとともに2人を指名手配して行方を追っています。マレーシア

では,去る1月15日にクアラルンプール市内でテロ攻撃を企図していたとして男性が逮捕されたほか,

7月に入りシリアで活動中とみられるマレーシア人ISIL戦闘員による,警察への攻撃を予告する警告

映像とされるものがインターネット上に公開されるなど,マレーシアにおけるISILをはじめとする

テロに関する情勢は予断を許さない状況にあります。

 

イ また,サバ州東側の島嶼部及び周辺海域においては,これまでにフィリピン南部ミンダナオ地域

を拠点とするイスラム過激派アブ・サヤフ・グループ(ASG)等による外国人誘拐事件が発生しており,

最近では海岸にあるレストランや島嶼部のリゾートに対する襲撃事件が発生するなど不穏な状況が

続いています。

ラハ・ダトゥ沖では,7月に入りトロール船がASGとみられる武装集団に襲撃され、インドネシア人船長

と船員計3人が拉致されたほか,18日には砂利運搬船に乗船していたマレーシア人船員5人が行方不明と

なり,地元州警察本部がASGによる誘拐事件の可能性を念頭に捜査中です。

 

ウ このように,テロ事件や拉致事件が散発的に発生している中,本年当初から実施されてきた国家警察

と軍による大規模商業施設や観光地などにおける合同パトロールが強化され,また,クアラルンプール

国際空港やKLセントラル駅などの交通の要衝でも警戒警備が強化されるなど,政府はテロ攻撃に対する

各種対策を強力に進めています。

しかし,ISIL等のイスラム過激派組織又はこれらの主張に影響を受けている者によるとみられるテロが世界

各地で発生しており,東南アジアにおいてはISILの支部設立を望むイスラム過激派組織が存在しています。

また,外国人戦闘員(FTF)としてシリアやイラクに渡航し,その後,帰還している者も確認されている

ところ,今後,在留邦人や短期滞在者を問わず日本人及び日本権益がテロを含む様々な事件に巻き込まれる

危険は低いとは言えない状況です。

よって,マレーシアに渡航・滞在される皆様におかれてはこのような現地情勢を十分に認識し,誘拐,脅迫,

テロ等の不測の事態に巻き込まれることがないよう,渡航情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の

関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講

じるよう心がけてください。

 

エ マレーシアは,タイ南部,フィリピン南部,インドネシア等イスラム過激派組織を抱える国・地域と

隣接しており,今後,国際情勢の推移の状況によっては,欧米などに対する感情が悪化し,マレーシアに

ある外国権益に対して悪影響が及ぶ可能性も排除されないことに留意しておく必要があります。

 

(2)政治情勢

東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区では,2013年2月,「スールー王国軍

(Royal Sulu Sultanate Army)」と称する武装勢力によるフィリピン側からの侵入事案が発生しま

した。これに対し,同年3月以降,マレーシア警察・軍による共同掃討作戦が実施され,同年6月末,

作戦終了が宣言されました。   

本年7月25日,本事案に関与したとして逮捕されていた14人の被告に対し,コタキナバル高等裁判所

は,1人を除く13人に有罪判決を下しました。

現時点では事態は沈静化していますが,スールー王国軍はサバの領有権を引き続き主張しており,

今後も同種の事案発生が懸念されます。

 

(3)その他

ジカウイルス感染症の流行に伴い,マレーシアには感染症危険情報を発出しています。ついては,

これまで危険情報を発出していない地域についても新規に「レベル1:十分注意してください」を発出

します。詳細についてはこちら(http://www2.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/pcinfectioninfolist.asp?pageno=1

をご参照ください。

 

2.地域別情勢

(1)サバ州東側の島嶼部及び周辺海域

 :「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)

 ア 同地域では,隣国との密出入国,密輸が絶えず,武器の押収事案や海賊事件が数多く発生して

います。また,以下のとおり,マレーシア人及び外国人の誘拐事件等が発生しています。

(a)2010年2月,センポルナ沖のセバンカット島におけるマレーシア人誘拐事件(同年12月,フィリピン

南部において解放)

(b)2013年8月,センポルナ沖・ブンブン島における,マレーシア人漁民誘拐事件(直後に解放)

(c)2013年11月,センポルナ沖・ポンポン島のリゾート施設における,台湾人夫妻襲撃・誘拐事件

(1名はその場で殺害,1名は連れ去られ,同年12月解放)

(d)2014年4月,センポルナ沖・シンガマタ島のリゾート施設における,中国人旅行者及びフィリピン

人従業員襲撃・誘拐事件(5月解放)

(e)2014年5月,ラハ・ダトゥ沖・バイキ島の養魚場における,中国人マネージャー誘拐事件(7月解放)

(f)2014年6月,クナ沖の養魚場における,中華系オーナー及びフィリピン人警備員誘拐事件

(g)2014年7月,センポルナ沖の養魚場における中華系オーナーを狙った誘拐未遂事件

(h)2014年7月,センポルナ沖・マブール島のリゾート施設における,警備中の警察官襲撃・誘拐事件

(1名はその場で殺害,1名を連れ去り)

 (i)2015年6月,センポルナ沖・ポンポン島付近において,夜間航行禁止令を無視して航行していた不審船

とマレーシア治安当局との間で銃撃戦が発生

 

 イ マレーシア当局は,海軍・警察・海上法令執行庁等による警戒を実施しているものの,約500キロ

メートルに及ぶ長い海岸線や50以上の島嶼全域にわたる警備にも限界があることから,同地域には依然

として誘拐・テロの脅威の可能性があると指摘しています。これにより2014年7月以降,マレーシア当局

はサバ州東側のサンダカン,キナバタンカン,ラハ・ダトゥ,センポルナ,タワウ各地域の沿岸から3海里

の地点からフィリピン国境までの海域に対して夜間航行禁止令を発出しています。

 

ウ ついては,同地域への渡航は依然として誘拐等の脅威があり,不測の事態に巻き込まれる危険性があり

ますので,どのような目的であれ止めてください。

 

エ なお,この海域に近接するフィリピン領域内での誘拐事件,ASGの活動等については,フィリピンの

危険情報も御参照ください

http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=013#ad-image-0)。

 

(2)サバ州東海岸のうち,サンダカン,ラハ・ダトゥ,クナ及びセンポルナ周辺地域

:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)

ア 2013年2月12日,東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区において,「スールー

王国軍(Royal Sulu Sultanate Army)」と称する数百人規模の武装勢力によるフィリピン側からの侵入事案が

発生しました。同年3月以降,マレーシア警察・軍は,軍用機,装甲戦闘車を投入した共同掃討作戦を実施,

同年6月末,作戦終了が宣言されました。その後事態は沈静化していますが,スールー王国軍はサバの領有権

を引き続き主張しており,今後も同種の事案発生が懸念されます。

一方,ラハ・ダトゥ沖では,上記のとおり7月以降,付近を航行中の船舶がASGと思われる武装集団の襲撃を

受け,乗組員が拉致される事件が2件発生しています。

 

イ センポルナ郊外では,2013年3月,同武装勢力と思われる外国人侵入者とマレーシア警察との間で

銃撃戦が発生しました。また,クナ地区でも同月,マレーシア治安当局が同武装勢力と思われる複数の

侵入者を発見しましたが,依然逮捕に至っていません。

 

ウ 2015年5月,サンダカンにおいて海岸にある観光客向けの高級レストランにて,中国系の共同オーナー

女性及び客の男性の計2名が,ASGとみられる武装集団に誘拐される事件が発生しました(11月にオーナー

女性は解放されるも男性は遺体で発見)。同市においては,更なる襲撃の可能性も排除し得ない状況です。

 

エ このほか,2012年11月,サバ州南東部のパームヤシ農園においてマレーシア人農園労働者4人が武装

集団に誘拐される事件が発生しました(2人は現場付近で解放,残る2人のうち1人は2013年8月,監禁先の

フィリピン南部から脱出)。 

 

オ ついては,不測の事態に巻き込まれる危険性がありますので,同地域への渡航は,どのような目的で

あれ止めてください。

 

(3)サバ州東海岸のうち,上記(2)発出以外の地域(タワウ含む)

:「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続)

ア サバ州東海岸のうち「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」発出以外の地域について

も,ラハ・ダトゥに上陸した武装勢力がマレーシア軍の攻撃を受け,各地に拡散・潜伏を図ったり,新たな

武装勢力がフィリピン側より侵入する可能性があります。

 

イ ついては,同地域において武装勢力の脅威がある点に留意し,不要不急の渡航は止めてください。その

上でなお,渡航・滞在される場合には,日程・連絡先等を日本のご家族や現地の関係者に必ず伝えるとともに,

在マレーシア日本国大使館にも事前に連絡して,詳しい現地事情の収集に努め,十分な安全対策を講じて

ください。

  

3.渡航・滞在にあたっての注意事項

マレーシアに渡航・滞在される際は,以下を参考にしつつ,状況に応じ現地大使館や総領事館,または

関係機関等より最新情報を入手し安全対策に努めてください。

(1)渡航者全般向けの注意事項

ア 「たびレジ」登録

在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)について,現地での

滞在予定を登録していただけるシステムとして,2014年7月1日より,外務省海外旅行登録(「たびレジ」)

の運用を開始しています(http://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/)。登録者は,滞在先の最新の渡航情報や

緊急事態発生時の連絡メール,また,いざという時の緊急連絡などの受け取りが可能ですので,ぜひ活用して

ください。

 

イ 一般犯罪への注意

マレーシアでは,特に都市部において,ひったくり,スリ,置き引きのほか,強盗やタクシー運転手による

乗客狙いの強盗が頻発しており,滞在期間の長短を問わず邦人が一般犯罪に巻き込まれる例が増えています。

従って,外出時は常に危機意識を持ち,また甘い言葉を用いて接近してくる人物には十分警戒して,この

ような犯罪に巻き込まれないよう注意してください。なお犯罪被害例や防犯対策等の詳細は,<安全対策基礎

データ>をご参照ください。

 

ウ 薬物関連犯罪への注意

 マレーシアでは麻薬等違法薬物に対する規制が厳しく,違反した場合の法定刑は非常に重く,最高刑には死刑

が規定されています。麻薬等違法薬物の使用や売買に関わったり,また知り合いであっても中身のわからない

ものを安易に預かったり,日本その他への運搬に手を貸すなどの違法行為に巻き込まれないようくれぐれも慎重

に行動してください。

 

エ 注意すべき場所等

マレーシア国内には特段の旅行制限区域はありませんが,軍事関連施設や宗教施設の中には立ち入りを禁じて

いる場所がありますので,宗教施設や公園又は地方を訪問する際には特に慎重に行動し,柵等が設けられている

場所に無断で立ち入ったり,動植物を捕獲・採取したりしないよう留意してください。

 なお,写真撮影も,被写体となる施設あるいは人物(特に女性)によっては問題となることがありますので,

事前に可否を確認する等,十分注意してください。

 

(2)長期滞在者向けの注意

ア 「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」以上の危険情報が発出されているサバ州東海岸及び東側

の島嶼部及び周辺地域に既に滞在している方は,不測の事態に備え,退避手段・経路等についても再確認して

ください。

 

イ 現地に3か月以上滞在される方は,緊急時の連絡などに必要ですので,到着後遅滞なく管轄の大使館・

総領事館に「在留届」を提出してください。また,住所その他の届出事項に変更が生じたとき又はマレーシアを

去る(一時的な旅行を除く)ときは,必ずその旨を届け出てください。

なお,在留届は,在留届電子届けシステム(ORRネット:http://www.ezairyu.mofa.go.jp/)による登録をお勧め

します。また,郵送,FAXによっても行うことができますので,管轄の大使館・総領事館まで送付してください。

 

(問い合わせ窓口)

 ○外務省海外安全相談センター

  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1

  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903

 

(外務省関連課室連絡先)

 ○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)

  電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139

 ○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)

  電話:(代表)03-3580-3311(内線)3047

 ○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp

             http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(携帯版)

 

(現地公館連絡先)

 ○在マレーシア日本国大使館

  住所:11, Persiaran Stonor, Off Jalan Tun Razak, 50450 Kuala

     Lumpur, Malaysia

  電話: (市外局番03) 2177-2600

     国外からは(国番号60)-3-2177-2600

  FAX : (市外局番03) 2143-1739

     国外からは(国番号60)-3-2143-1739

  ホームページ: http://www.my.emb-japan.go.jp/Japanese/index.htm

 

 ○在ペナン日本国総領事館(管轄地域:ペルリス州,ケダ州,ペラ州,ク

  ランタン州及びトレンガヌ州)

  住所:28th Floor, Menara BHL, No.51, Jalan Sultan Ahmad Shah,

     10050 Penang, Malaysia

  電話: (市外局番04) 226-3030

     国外からは(国番号60)-4-226-3030

  FAX : (市外局番04) 226-1030

     国外からは(国番号60)-4-226-1030

  ホームページ: http://www.penang.my.emb-japan.go.jp/index_jp.htm

 

 ○在コタキナバル領事事務所

  住所:No.18, Jalan Aru, 88100 Tanjung Aru, Kota Kinabalu, Sabah, Malaysia

  電話: (市外局番088) 254-169

     国外からは(国番号60)-88-254-169

  FAX : (市外局番088) 236-632

     国外からは(国番号60)-88-236-632

  ホームページ:http://www.kotakinabalu.my.emb-japan.go.jp/ja/index_j.html

 

● ジョホール日本人会としましては、今後とも地域や近隣国の安全に関する情報の発信、共有化に努めて

参ります。

会員皆様からの安全情報のご提供をお待ちしておりますので、身近な事件・事故などありましたら、

何卒事務局までご連絡頂きます様、よろしくお願い致します。              以上